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首位いわきに先制するも連続失点、ホームで8試合ぶりの黒星。

2021年08月29日 

 

4週間のブレイクが明け、ホーム・朝日ガスエナジー東員スタジアムで迎えるJFL第19節。圧倒的な強さで首位を走るいわきFCを迎えた一戦は後半戦の行方を占う上で非常に重要な試合と言える。

気持ちのこもったプレーを見せて先制したヴィアティン三重だったが、後半のワンプレーをきっかけに集中を切らし連続失点、攻撃力と集中力で上回ったいわきFCに敗れた。圧されながらも良い闘いぶりを見せていただけに悔しい敗戦となったが、残りの14試合を闘い抜く上では可能性を感じられる試合となった。

 

○ヴィアティン三重 1-2 いわきFC●
(前半:1-0・後半:0-2)

  • 26分:⑨酒井達磨・ヴィアティン三重
  • 79分:②嵯峨理久・いわきFC
  • 84分:㉒米澤哲哉・いわきFC

 

第23回 JFL第19節・スターティングメンバー紹介

 

試合終了後・山本監督コメント

 

山本監督・試合総括:結果として、1-2で敗れたという事実は受け止めなければなりません。先取点を奪って失点しないというゲームプランで臨み、途中まではプランどおりに進めることができていました。しかしながらいわきさんのフィジカルコンタクトの強さ、プレッシャーなど、いままでに感じたことのない強さがあり逆転を許してしまいました。それに対してヴィアティン三重の選手たちは力を尽くし、ひるむことなく、できることを最大限にやってくれたと思っています。

最初に失点した直前のジャッジに関しては思うところがありますが、選手たちにはレフェリーのジャッジには従うよう日頃から話していますし、これもサッカーだと。我々があのあとに訪れたチャンスをものにしていればどうなっていたか?決めきることはできなかったのか?そこを自分たちの課題にして次のソニー仙台FC戦の準備をしようと話しました。試合後にはキャプテンの塩谷も一度決まった判定が覆ることはない、切り替えてやらなくてはならないと話してくれました。こういったことを経て選手たちが成長してくれると思っています。

 

VTM:中断明けの初戦で圧倒的な成績で首位に立ついわきFCを迎えたわけですが、攻撃と守備、それぞれにどのようなところに勝機を見出そうとして試合に臨まれましたか?

山本監督:いわきさんは非常に攻撃的でラインコントロールも徹底されていて前へのプレッシャーが非常に強いチームだと思います。いかにその背後を使うか、斜めに走ったりパスを繋ぐ中で、裏への飛び出しのタイミングはいつなのか、そこを上手く突くことができれば勝機はあると考えていました。

守備について、スカウティングをする中でやはり非常に強力な攻撃力を持ったチームですので、ゴール前でマークを失わない、必ず自分の責任においてそれぞれが役割を果たす事、それができれば失点をすることはありませんので、そこを徹底しました。失点する時は基本的なことが出来なかった時だと話していましたので、1点目は別として、2点目はコーナーキックからの失点で、まさにそこが出来なかった場面でした。そこはかねてからの課題でもありましたので今一度徹底しないともったいない失点、もったいないゲームになってしまいますので、引き続き徹底していきたいと思います。

 

記者:7試合負けなしで来ていましたが、リーグ再開初戦で8試合ぶりの黒星となりました、そのことについてはどのように受け止めていますか?

山本監督:今日は負けてしまいましたが、我々が何もチャレンジせずにこういう結果になったということであれば、それは応援していただいているみなさんに対して申し訳ない気持ちになります。しかし今日は選手たちが最後まで闘う姿勢を示してくれました。まだまだ成長過程にあるチームですが、そこについては収穫があったと感じています。あと14試合ありますので、ここでつまづいているわけにはいきません。

 

インタビュアー:最後にファン・サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。

山本監督:今日は悪天候の中、スタジアムに駆けつけてくださった方、画面越しに応援してくださったみなさんに勝点3をお届けすることが出来ず、本当に申し訳ありませんでした。選手たちはみなさんの応援を糧にして闘い続けています。今日も精一杯闘ってくれました。これからもみなさんの心からの後押しを受けて残り14試合、ともに闘い続けて行こうと思いますので、引き続きご声援よろしくお願いします。

 

いわきFC・田村監督 試合後コメント

 

田村監督・試合総括:スカウティングをした上でヴィアティンさんの印象は、切り替えが速くアグレッシブに前へ出てくるチームだと思っていました。それに対していわきとしては、普段から3枚も4枚もやっているんですが、この試合に関してはスリーバックでヴィアティンさんの良さを消すために、そして自分たちの良さをもっと出すために3枚で臨みました。

前半は思っていたよりもヴィアティンさんが5バック気味で深い布陣でした。トップの9番(酒井達磨選手)に対してウチの3枚が残ってしまいあまり良い展開ではなかったので、前半の途中からシステムを変更しました。そして雷による中断があったり非常に難しいゲームになりましたが1点取って、そのあとに前回スタメンだった米澤をスタメンから外していて、その米澤が途中から出てきてセットプレーから得点してくれたというのが、指導者としてとても嬉しく感じますし、彼の人間性や毎日の取り組みが現れたゲームだったと感じています。

試合前に後半戦が始まって、これからあと15回いわきFCのサッカーを見せることができるんだと話しました。こういうコロナ禍においてあと15回みなさんに何かを感じてもらえるようなサッカーをしよう、と話した上で後半戦最初の試合に臨みました。

難しいゲームでしたがこうやって勝ちきれたというのは選手たちの頑張りのおかげです。とても良かったです。

 

前半・菅野のFKに酒井が反応、貴重な先制ゴールを奪う!

 

時折小雨が降るもピッチコンディションはまずまず、相手は18節を終えてわずか一敗、開幕戦で黒星を喫したいわきFC。ヴィアティン三重は直近の7試合において3勝4分で負けなし、サマーブレイク明けのホームゲームとあって選手たちは闘志みなぎる表情。

「この試合、一番重要なポイントは何ですか?」今節から正式に監督として指揮を執る山本監督に試合前に聞いた。「一瞬たりとも気を抜かないこと。集中を切らした時にやられることはわかっていますし、一瞬の緩みを突いてくる相手だとわかっていますので、それを徹底します。」

 

 

試合開始から相手がボールを保持する時間が多い。ファーストボール、セカンドボール、球際、全てにおいて強靭なフィジカルを活かしてボールを保持するいわきFC。明らかに上回る相手に立ち向かうとあって、ヴィアティンの選手たちは集中力を高め、慌てずに対処。一瞬の隙も見せないと同時に、相手が見せる一瞬の隙に神経を集中し、ウラを狙って動き出す⑨酒井達磨。そのタイミングを逃さないように他の選手らがプレッシャーをかける。

ボールは支配されながらも、奪った時には相手のスリーバックの裏を狙ってロングボールを供給し続ける。そして26分、相手のエリア近くで⑦塩谷仁が倒されフリーキックを得る。ボールの前に立つのは⑩山藤健太(左利き)と⑤菅野哲也(右利き)。壁に向かって⑩山藤が細かく指示を出す。蹴ったのは⑤菅野、壁を超えたボールは惜しくもクロスバーを叩く。しかし跳ね返ったボールに⑨酒井が素早く反応、左脚を振り抜いて見事先制!貴重なチャンスをものにした。

 

その後もいわきFCがボールを支配しヴィアティンゴールに迫る。前半は12本ものシュートを受けたがディフェンス陣とGK㉑加藤大喜が好セーブを見せてゴールを割らせず1点リードで後半へ。

後半・79分まで必死に凌ぐも5分間で連続失点

 

前半終了後、ハーフタイムに真っ黒な分厚い雨雲がアサスタの空を覆い、雷雨が予想されたため試合は中断。滝のような雨が降り、30分ほどで上がった。ピッチの至るところに水たまりができて前半とは全く異なるコンディションのなか試合再開。

ボールは思うように転がらず、思った以上に滑るため互いにコントロールに苦しむ。しかし1点リードするヴィアティンがロングボールを上手く前線に放り込んで連続してチャンスを作る。しかし決めきれない。

 

前半は短いパス・長いパスを織り交ぜてボールを支配していたいわきFC、グラウンダーのパスは諦め浮かせたロングボールで試合を進める。いわきベンチからは「サイドから入れろ!」と大きな声が飛び、徹底してサイドからクロスを放り込まれるが前半同様にヴィアティンディフェンダー陣と㉑加藤大喜が跳ね返す。ピンチを凌ぐたびに㉑加藤が激を飛ばす「ここで切らすなぁーーーーー!!!!」それに呼応するように②大竹陸も声を上げる「もっと声を出せ!!!まだまだやれるぞ!!!」

虎の子の1点を守りつつ必死にいわきの攻撃に耐えてきた79分、左サイドでタッチを割ったワンプレーで一瞬プレーが止まってしまう。すかさず再開させた相手にゴールラインギリギリからえぐられて失点。線審の判定に納得がいかない選手たちが詰め寄るが判定は当然覆らずリスタート。続く84分・相手のコーナーキック、わずかな緩みからかマークを外されドンピシャヘッドを決められて失点。

 

たった5分で一気に試合をひっくり返したいわきFC。徹底してサイド攻撃を繰り返す中でコーナキックを得て、セットプレーで試合を決めた。完全に勢いを失ったヴィアティン三重は屈強ないわきの圧力を前に追加点を奪うことは出来ずに試合終了。

首位いわきFCを相手に行けるかもしれない!と大いに期待できる試合展開だったが、90分を通してみると「一瞬たりとも」気持ちを切らさなかったのはいわきFCの方だった。首位を走るチームの圧倒的な強さは、強靭なフィジカル、磨かれたテクニック、統率された組織だけではなく、分厚い一枚岩として相手に立ちはだかる「気持ちの強さ」だと感じさせられる試合だった。

身も心も打ち砕かれるような再開初戦ではあったが、どんなに強い相手が立ちはだかろうとも、どんな困難にぶつかろうとも、支え応援してくれる人たちと共に前に進むしかない。選手たちはピッチで闘う姿を見せ、支える我々は選手にエールを贈り続ける。

闘いは続く、ONE HEART ヴィアティン三重。

 

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