NEWSヴィアティン・マニア / トップチーム
価値を示した最後の90分、4位マルヤスに勝利しシーズンを締めくくる。
後半アディショナルタイム、ヴィアティン三重ゴール前でFCマルヤス岡崎(以下マルヤス)のフリーキック。表示されたAT3分を超えており、恐らくこれがラストプレーとなる。前節は後半AT4分の劇的ゴールでドローに持ち込んだヴィアティン三重、フットボールは終了の笛が鳴るまでどうなるかわからないことは自分たちが一番よく知っている。壁に入る選手に丁寧に指示を送るGK①森建太、最後の声を振り絞る。固唾を呑んで見守る2,100人の観衆。そしてマルヤスの選手が蹴ったボールは高くクロスバーの上を超えていき試合終了のホイッスルが鳴る。安堵の声と大きな拍手に包まれ2022シーズンが幕を閉じた。
2022シーズンの最終戦をホーム・アサスタで迎えたヴィアティン三重。昇格もない、優勝もない中で2,000人を超える観客がアサスタに集まった。今季最後の闘いを見届けるため、引退選手・退団選手のラストプレーを見届けるため、僕らの街のチームとともに今季最後のお祭りを楽しむため、その目的はさまざまだったと思う。選手らはその2,100人の想いに応え、素晴らしい集中力を発揮し、今季は4位と躍進した難敵・FCマルヤス岡崎に1-0で勝利した。前半は相手に主導権を握られながらも後半には修正し先制、そこからも多くのチャンスを作り、最後まで守り切って無失点で勝利。攻撃陣も守備陣もスタッフも満足げな表情を見せて試合を終えた。
第24回 JFL最終節・試合結果
ヴィアティン三重 1-0 FCマルヤス岡崎
(0-0/1-0)
- 51分:⑩田村翔太・ヴィアティン三重
前半・カウンターから何度もチャンスを作るがゴールは生まれず
気温18℃、やや肌寒い気温と曇り空のもとマルヤスボールでキックオフ。開始早々に現在14ゴールを上げているマルヤス⑨酒井達磨選手のシュート、これは枠を逸れる。互いに前線からプレッシャーをかけてボールを奪いにいく。中盤では短いパスを繋いで攻守の切り替えが速い。5分、最終ラインからのビルドアップ、左の⑲児玉から前線の㉒川中へロングボールが入る。川中と㉕藤澤が入れ替わって川中が前のスペースへ出す。そして藤澤がクロスを入れる。速い展開で相手の守備も整わないところへ㉟寺尾が走り込んで合わせるが相手DFともつれシュートは打てない。8分には右サイドから相手DFの裏を取った⑩田村がシュート、相手DFに当たってコースが変わり枠を外れる。相手の厳しいプレッシャーを受けながらも、食いつかせてから長めのボールを裏に入れて立て続けにチャンスを作る。
2022JFL第30節vsFCマルヤス岡崎ハイライト②
スコアレスで迎えた後半6分⏱相手のスローインからボールを奪うとカウンターのチャンス⚡️川中から絶妙なタイミングで田村へ🚀田村が相手DFの動きを見ながらシュート⚽️💨ゴール右隅に突き刺さる先制ゴール‼️アサスタが歓喜に包まれた🏟#田村翔太#川中健太 pic.twitter.com/P8wjDOFuVt— ヴィアティン三重 【公式】 (@Veertien_TSC) November 20, 2022
16分、自陣でボールを奪ったヴィアティン三重、⑯橋本⇒⑧澤と繋いで㉒川中へパス、前を走る田村、追い越す澤、高くなっていた相手DF陣が全力で戻る。中央から川中が持ち込みそのままシュート。相手に当たってゴールラインを割る。鋭いカウンターで相手守備陣を翻弄。その後も互いにゴールへの意識は強く目まぐるしく攻守が入れ替わる見ごたえある試合展開。飲水タイムを挟んで28分、最終ラインから右サイドに繋いで㉔池田⇒㉟寺尾のホットラインからチャンスを作る。右サイドからゴールに迫る寺尾切り返しをひとつ入れて相手を振り切り中で待つ田村へグラウンダーのクロス。合わせる田村、しかしわずかに枠を捉えられずゴールならず。前半最大のチャンスを逃して悔しがる田村。
前半は互いにゴールは生まれなかったが質の高いプレーを見せ観客を飽きさせない。48得点とリーグトップの得点力を誇るマルヤス。しかもその半分を昨年までヴィアティン三重に在籍した酒井選手(14得点)と塩谷選手(9得点)が上げているとあってこの二人を抑えることが勝つための絶対条件でもある。前半はしっかりと抑え無失点で後半へ。
後半・田村の1点を守りきり有終の美を飾る
48分、マルヤス陣内ゴールまで30mあたりでフリーキック獲得。キッカーは⑯橋本、いつものようにゴール前にボールを入れるかと思いきや直接ゴールを狙う。枠内に鋭く飛ぶもGKがキャッチ、良いチャレンジを見せる。そして50分、ヴィアティン三重ゴール近くでマルヤスのスローイン。ゴール前で頭で競って㉟寺尾が前に飛ばす。ボールを拾った㉒川中、前がかりになるマルヤスの守備陣を見て一気にスピードを上げる。同時にスイッチを入れる⑩田村、川中と感じあって一気にトップスピードに乗る。ハーフウェーライン付近まで運んだ川中、左のスペースへ走る田村に絶妙のパス。相手DF2人を置き去りにし田村と相手DFの1対1。ボールを受けてもスピードが落ちない田村、必死に下がりながら守る相手DF、右を狙うか左を狙うか駆け引きする。スピードは全く落ちない。相手がわずかに左に動いたところで右を狙った田村、身体が遅れた相手DFをかわさずにシュート。早いタイミングのシュート、そして相手GKとの間にDFがいたことでGKは全く反応できず田村のシュートはゴール右隅に突き刺さった。
2022JFL第30節vsFCマルヤス岡崎ハイライト①
立ち上がり前半10分⏱橋本から縦へボールが出ると田村が抜け出し快速を飛ばす💨✨ゴール前に迫ったところで切り返しシュートを放つと相手DFに当たり、方向が変わる‼️そのまま吸い込まれるかと思われたが、わずかに枠を外れた😭#田村翔太#橋本拓門 pic.twitter.com/BFPkpyIblj— ヴィアティン三重 【公式】 (@Veertien_TSC) November 20, 2022
拳を突き上げる田村、歓びを爆発させる。そして素晴らしいパスを出した川中、田村を追い越してゴール裏のサポーターに向かって雄叫び。まさに電光石火のカウンターからのスーパーゴール。ここまで何度もチャレンジしてきたカウンターが実った瞬間だった。実況の藤牧CCも今季最高のテンションで叫んだ。
前半は中盤からの縦パスを何本も入れられゴールに迫られていたが、後半に入って中央を閉めることでサイドに追いやり前にボールを運ばせない。先制したこともあって試合の流れは完全にヴィアティン三重ペース。52分左サイドから㉕藤澤のカウンター、54分には⑤菅野のシュートと立て続けに決定機を作る。このあと相手がボールを握る時間を迎えるが集中した守備を見せてチャンスを作らせない。今季14ゴールの酒井達磨選手を完全に抑える④寺田、かつてのチームメイトを相手にタフな守備で突破を許さない。⑲児玉もマルヤス⑦塩谷選手をしっかりと抑える。
72分、GK森からのロングボールを受けた寺尾、ワントラップで相手選手2人をかわしフリーに、そのままゴールに向かってGKと1対1、前に出るGKをかわして右足でループシュート。しかし惜しくも左に逸れてゴールならず。決定的な場面を決めらなかった寺尾、⑳金成純と交代でピッチを去る。同時に⑧澤に代わって⑨大竹がIN。
88分、⑤菅野に代えて②谷奥、㉒川中に代えて⑮田宮が入る。先日、今シーズン限りでの引退を発表した26歳の田宮、サッカー人生を締めくくる最後のピッチに立つ。そして90+3分、⑩田村に代えて⑥坂井将吾が入りスタンドからは大きな拍手が起こる。2009年にモンテディオ山形でのシーズンを終えて一度は引退。そして2013年、ヴィアティン三重(当時はヴィアティン桑名)が発足した翌年に現役復帰を決断しヴィアティンに加入。そこからヴィアティン三重で10年間プレー、県リーグ時代を知る最後のレジェンドが長きにわたるサッカー人生をアサスタのピッチで締めくくる。四日市中央工業の後輩、田村翔太と握手を交わしピッチに駆け出す。数々の名場面が蘇る。
前がかりになってゴールを狙うマルヤス、GKも前に出てパワープレー。そこで入ったばかりの⑥坂井がファール、ゴールまで20mの位置でフリーキックを与えてしまう。アディショナルタイムの3分を超え残り時間はほとんどない。壁に入る選手に丁寧に指示を送るGK①森建太、最後の声を振り絞る。固唾を呑んで見守る2,100人の観衆。そしてマルヤスの選手が蹴ったボールは高くクロスバーの上を超えていき試合終了のホイッスルが鳴った。坂井のところにチームメイトが集まる、同じく田宮のところに駆け寄り固い握手を交わす。
最後まで必死に闘った選手たち。ラストゲームはエース田村が上げた1点を守りきり、無失点で勝点3を掴んだ。そして苦しかった2022シーズンが終わりを告げた。
「〜集大成〜」今日の試合をまとめるならばこの一言が適切だろう。”J3昇格という目標は達成できなかったが…”、という前置きは避けられないが、今シーズンの山と谷を自分たちの脚で登り、前に進み続けた。谷は思ったよりも深かったかもしれない。でも常に前向きに山に向かって歩を進めてきた。山を登るための方法をポジティブに示し続けた樋口監督のもと、選手らは信じて30試合を闘い抜いた。樋口監督が最後の会見で言ったように、結果的に目標達成には及ばなかったが、ここまでの30試合を振り返るとチームは右肩上がりで成長を続けた。山も谷も含めて、最終戦は今シーズンの集大成と言えるゲームになった。
ヴィアティン三重はJFL6シーズン目にして初めて最終節とホーム最終戦を勝利で飾ることができた。そしてシーズン終了のセレモニーもこれまでで最も一体感がある雰囲気だったと感じる。それは選手を信じて最後まで応援し続けたサポーター(あえて応援する全ての人達を含めてサポーターの一言にまとめる)と、多くのサポーターに応援され、支えられている自分たちの存在価値・意義を最後まで追い続けたチームの姿勢がひとつになったからこの一体感が生まれたのではないだろうか。
引退する選手がいて、退団する選手もいる。それはシーズンの終わり、そして次へのスタートでもある。すでに発表されている通り来季も樋口靖洋監督がチームの指揮を執る。それは、30試合で右肩上がりに成長してきたチームはゼロスタートではなく、成長曲線が続いたところからスタートできるということだ。そう考えるだけでも楽しみで仕方がない。
来春までしばらく寂しい時期を過ごさなくてはならないが、今シーズンのヴィアティンマニアを開幕戦からしっかりと読み返し、試合動画やハイライト動画を見ているうちに来季の開幕戦がやってくるだろう(笑)今シーズンの悔しさだけじゃなく、JFL6年間の全ての想いを来シーズンにすべてぶつけよう。
来シーズンもまた、スタジアムで熱狂しよう。We are VEERTIEN!!!
ヴィアティン三重U15・1〜2年生のみなさん
最終戦の試合運営・ボールパーソンはヴィアティン三重U15、1年生・2年生のみなさんが務めてくれました。そして雨の日も風の日も、1年間試合準備・撤収のお手伝いをしてくださったボランティアのみなさん、本当にありがとうございました!また来春にアサスタで再会しましょう!