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19歳・石井大生の劇的大逆転2ゴールで青森に勝利!

2023年09月18日 

 

 

3位・ラインメール青森をホーム・ラピスタに迎えたJFL第21節、2位ソニー仙台FCから14位のミネベアミツミFCまでが勝点8差という混戦が続く中、ヴィアティン三重は勝点23・11位と振るわない。「もう負けられない」とずっと言い続けてきたが、ここ6試合で勝ち星なし。ナイターのホームゲームで何としても勝ち星を上げたい、選手はもちろんスタジアムに駆けつけた全員がそう願っていた。しかし早い時間に先制を許しまたも追いかける展開に(直近5試合全てで先制されている)。その後少しずつ流れが良くなりボールを握って試合を進めるがゴールが遠い。先制した青森は固い守備でヴィアティン三重の攻撃を防ぎシュートさえも打たせない。そのまま90分が経過…。

85分にMF⑳の金成純に代わって入ったDF登録㉝石井大生。今季、湘南ベルマーレから期限付き移籍で加入、左利きのセンターバックとして期待される逸材。ピッチに立った石井は最前線、FWの位置まで走り攻撃陣のメンバーと言葉を交わす。最後のパワープレー、彼の役割は点を獲ることだった。そして時計の針が90分を過ぎアディショナルタイム突入。

ここからの大逆転劇を誰が予想できただろうか。91分間苦しみ続けたチームを救ったのは身長190cm・19歳、リーグ戦出場2試合目にして後半AT2分間で2ゴールの㉝石井大生。湘南からやってきた一人の若者が新たな三重の希望の光となり、7月1日の第14節・ソニー仙台戦以来となる7試合ぶりの勝点3をチームにもたらした。

 

第25回 JFL第21節・試合結果

ヴィアティン三重 2-1 ラインメール青森
(0-1/2-0)

  • 26分:㉝木戸皓貴・ラインメール青森
  • 90+1分:㉝石井大生・ヴィアティン三重
  • 90+2分:㉝石井大生・ヴィアティン三重

 

前半・26分に失点、青森の圧力に押され苦戦

 

暑かった夏が終わりに差し掛かり、陽が落ちると幾分過ごしやすいものの気温は29℃・湿度79%とじっとりと汗ばむLA・PITA東員スタジアム。照明がピッチを照らす中、18時に青森ボールでキックオフ。ヴィアティン三重は左サイドに⑪上田駿斗を置き、ボランチには⑳金と⑦森主を置き最終ラインは3バックで臨む。青森はJリーグでの経験が豊富で非常に強力な3人を前線に置き、開始早々から前への強烈な推進力を持ってゴールを目指す。序盤から立て続けにファールを取られるヴィアティン三重、ゴール付近でフリーキックを与えてしまう。その後も積極的にシュートを打ってくる青森、その勢いと厳しいプレッシャーに押され気味のヴィアティン三重、3位につけるチームの圧力を感じさせられてしまう。

 

 

選手同士の距離がやや遠いヴィアティン三重、ボールを保持しても相手の戻りが早くパスの出しどころが見つからない。横パスが多くなりやや停滞した状況が続いていたが19分に裏に抜け出した㉟寺尾へ⑤菅野から浮かせたパスが通りシュート、しかし相手DFのブロックに弾き返される。

 

 

飲水タイム直後の26分、前方にロングボールを入れる青森、左サイドでセカンドボールを拾い開いたスペースを狙って簡単にスルーパスを通す。受けた㉝木戸が冷静に決めて先制。いとも簡単にゴールを奪われヴィアティン三重の選手たちは立ちすくんでしまう。6試合連続での先制点を許し、今シーズンは先制された試合での逆転勝利が一度もないだけに、スタジアムには静かにため息が響いた。

 

 

中央をしっかりと固めて守る青森、追いかけるヴィアティン三重はサイドからの崩しを狙う。距離感がやや遠く、パスが通らない場面が多かったが少しずつリズムが良くなり相手陣内でプレーする時間が増え始める。しかし間に立ってコース、スペースを作らせない青森の守備に手こずり、決定的な場面は作れない。

前半の終わりに差し掛かり、サイドからのクロスを何本か入れるところまでは行ったがフィニッシュ、ゴールまでは至らず0−1のまま前半終了。前半は5本のシュートを放ったヴィアティン三重だったが、枠に飛んだシュートは無し。

 

 

後半・ニューヒーロー誕生、石井大生19歳!

 

ハーフタイムには⑦森主に代えて⑬安西、⑪上田に代えて㉕藤澤を投入し巻き返しを図る。前回のホームゲームで負傷し前節の高知戦ではメンバーから外れていた安西だったが、後半になってゲームメーカーの安西が入ったことでボールが落ち着き選手同士の距離が近くなってヴィアティン三重がボールを保持し始める。しかし引き続き青森の守備は固く、前からのプレッシャーも厳しい。

 

 

60分、左サイド⑲児玉と⑬安西のパス交換から左前方のスペースへ児玉がボールを運びゴール前へクロスを入れる。飛び込んだのは㉟寺尾だったが相手DF二枚が身体を寄せて防ぐ。頭であわせたシュートは惜しくも枠を逸れる。しかし徐々に相手の守備を崩す場面を作り得点への期待が膨らむ。

 

 

そこからも相手にほとんどボールを渡すことなく相手ゴールを目指すヴィアティン三重だったが、相手ボックス内に入り込む場面をなかなか作れない。攻められることはないものの、得点の匂いがする場面も作れず時間だけが過ぎていく。そして飲水タイム後の70分、⑤菅野に代えて⑨大竹、⑰野垣内に代えて⑮梁を投入。仕事人大竹、スピードとテクニックの梁と攻撃の枚数を増やし、守備は4バックに変えてゴールを狙う。

 

 

終盤に差し掛かっても相手の守備は固くゴール近くに迫っても最後の壁を崩せない。80分を過ぎて相手選手の何人かが脚を攣ってピッチに倒れ込む。ヴィアティン三重の攻勢が続き確実に相手に疲れが出てきている、ここからが最後の勝負と見てパワープレーを仕掛ける樋口監督。85分にMFの⑳金に代えてDF登録、身長190cm㉝石井を前線に入れる。セットプレーでは身長184cmの②谷奥も前に上がり182cmの⑨大竹とのトリプルタワーで空中戦を制しにかかる。それを見た青森も193cmの㊾クルーニーを投入。ここからヴィアティン三重、怒涛の攻撃。

 

 

ベンチからは樋口監督の大きな声が飛ぶ「はやく上げろ!!!」①モリケンからのロングボール、㉔池田のロングスロー、⑬安西からのアーリークロス、ひたすらゴール前に高いボールを放り込み、谷奥、大竹、石井が空中戦を仕掛ける。しかし時計の針は90分を過ぎていた。後半のアディショナルタイムは5分、右サイドからのコーナーキックを得る。蹴るのは⑬安西海斗、正確で速いボールを蹴るチームNo.1のキッカーだ。

 

 

最後のチャンス、固唾をのんで見守る1,200人の観客。ゴール裏からは大きな声援が聞こえる。バックスタンドからの声援を受けて安西が右足を振り抜く。ニアサイドで相手の長身選手二人を引き付ける②谷奥、ボールはその上を越えてひときわ高く跳んだ㉝石井大生の頭にピンポイントで届いた。ドンピシャのタイミングで強く叩いたボールはファーサイドのGKが届かないところに飛び同点ゴール。90+1分、ついに同点に追いついた。

 

 

 

残り時間は3分、追いつかれた青森は勝ち越しゴールを狙って攻撃に出る、疲れの見える青森に対し息を吹き返したヴィアティン三重はパワープレーの意識を持ち続けたままシンプルに繋ぎ一気に前へボールを運ぶ。ピッチ中央でボールを受けた⑨大竹、スピードを上げて右サイドを駆け上がる⑮梁にパス、中央にはニアに石井、ファーに⑩田村、必死に戻った青森守備陣4人が守る。DF陣はファーの田村に引っ張られたのか中央の石井が完全にフリーに。そこへタイミングを見計らった梁がパス、DF3人に囲まれた石井は脚元のテクニックを見せ、切り返しを入れて得意の左足に持ち替えてシュート!相手選手をかすめたボールが青森ゴールに突き刺さった。逆転。

 

 

 

ベンチから駆け寄るヴィアティン三重の選手たち、歓声に沸くスタンド、喜びを爆発させる石井大生。アディショナルタイムのたった2分間で若きニューヒーローが試合をひっくり返した。

そのあとは石井もDFラインに入って守備を固め、ゆっくりと時間を使いながら試合を終わらせにかかる。最後まで諦めず、最後まで集中を切らさなかったヴィアティン三重の選手たち。終了のホイッスルが鳴ると久しぶりの勝利に全員が喜びを爆発させ、大仕事をやってのけた㉝石井大生に笑顔で手荒な祝福をお見舞いした。

 

 

今シーズン初めての逆転勝利はあまりにも劇的な幕切れだった。同点に追いつくところまでは想像・想定できたかもしれないが、たった1分後に同じ選手が全く違う形で逆転ゴールを決めるとは誰一人として想像していなかっただろう。その想像の上をいったのは若き逸材、爽やかな笑顔が印象的な石井大生だった。

 

 

試合を終えた石井は、ゴール裏へ挨拶に行ったあと、バックスタンドで声援を送ってくれていた子どもたちのところへ駆け寄り、端から端までハイタッチをして回っていた。子どもたちの反応というのは正直なもので、目の前で起こったドラマティックな場面を生み出したヒーローは一瞬にしてアイドルになる。お見送りエリアでそんな子どもたちのサイン攻めにあう石井も子どものような笑顔でそれに応えていた。

 

 

試合後のインタビューにもあったが、パワープレーに行く展開になった場合は石井をFWで使うことが想定されていたという。それはチームとしては良くない展開になった場合のゲームプランだ。当然90分を通してもっと良い試合運びをして、もっとチャレンジして、もっとゴールを奪うプランを立てていたことだとは思うが、想定通りにいかないのがフットボールである。しかし、想定通りにいかないことを想定し、パワープレーでの「オプション・FW石井」を準備していたからこそ、超絶劇的大逆転勝利という結果に繋がった。それは指揮官とチームが見せた勝利への執念と言えるだろう。

 

 

リーグが終盤に差し掛かり、依然として混戦が続く今シーズンのJFL。その21節において強烈な上昇気流を生むキッカケになるドラマが生まれた。そしてドラマのクライマックスはここからだ。2位ソニー仙台との勝点差はわずか「5」。ここからの数試合で順位が大きく入れ替わる可能性がある。

試合後にキャプテンの谷奥健四郎とその話をした。それに対するキャプテンの返答はこうだった。

「先のことは考えない、目の前の一戦に集中するだけです。次の武蔵野戦、そこで勝つこと。しかもまたホームでやれるじゃないですか、この雰囲気、この環境は最高ですよ。絶対に次も勝ちます。」

 

 

若きニューヒーローがキッカケを作ったリーグ終盤戦の上昇気流、みんなでその大きなうねりに乗って、どこまでも上にいこうじゃないか。次もラピスタでヴィアティン三重のうねりを起こそう。

 

 

 

運営サポートは四日市大学サッカー部のみなさん!

今節は四日市大学サッカー部・トップチームのみなさんが運営サポートでホームゲームを支えてくれました。撤収まで含めて、遅い時間までありがとうございました!

 

フォトギャラリー①

フォトギャラリー②

公式記録

2023 JFL第20節 9/23土 vs 東京武蔵野ユナイテッドFC

  • 第25回 日本フットボールリーグ 第22節
  • 試合日程:2023年9月23日(土)ホーム
  • 対戦相手:東京武蔵野ユナイテッドFC
  • 試合会場:ラピスタ
  • 開始時間:17:00キックオフ