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最終節 レイラック滋賀戦・試合後コメント
第25回 JFL第30節・試合結果
ヴィアティン三重 2-2 レイラック滋賀
(1-2/1-0)
- 5分:②平井駿助・レイラック滋賀
- 15分:㉖角田 駿・レイラック滋賀
- 29分:⑩田村翔太・ヴィアティン三重
- 85分:⑨大竹将吾・ヴィアティン三重(PK)
樋口監督・試合後コメント
樋口監督・試合総括:今日はホーム最終戦ということでしたが、残念ながら僕らが昇格や優勝などがかかった試合ではなかったわけですが、2000人を超えるファン・サポーターの皆さんに来ていただいて今シーズン最後の試合を共に闘って頂いたことは本当に嬉しく思っていますし、やはりヴィアティン三重のサポーターはJFLナンバーワンだということを再認識させてもらいました。ゲームについては最初の15分にこの試合に勝てば昇格・入れ替え戦進出というのがかかった相手で、非常にアグレッシブにボールを前に入れてセットプレーを決めてくる、そんな相手の闘い方を残念ながら受けてしまうかたちになってしまった。それで2失点してしまった。ただ、その15分・2失点したあとよくチームは耐えながら盛り返してくれました。前半はすこし風下だったので、若干押されるのは覚悟していましたが、非常にきれいな形で1点返して、あのゴールでチーム全体が「まだまだ下を向かずに行くぞ」という気持ちで闘い続けてくれました。
後半は僕らが風上になりやはりしっかりとボールを動かすことができるようになり、相手の圧力を分散させながらサッカーすることができました。最後にはPKというかたちではありましたが、しっかりと決めきって追いつくことができました。最後のゲームでしたし、選手たちには「勝とう」という意識があったので、後半の選手交代は勝ち切るための交代でした。最終的に3点目を獲ることはできませんでしたが、しっかりと積み上げてきたものを選手たちが表現しながら最後まで諦めずに闘ってくれました。それもやはりみなさんの声援があって背中を押してくれたことがそういう形に繋がったのだと思っています。
僕らは僕らのスタイルで闘って、相手のスタイルは関係なく自分たちのスタイルで結果を出そう、そういう気持ちで試合に臨みました。勝つことはできませんでしたが、選手たちは最後まで自分たちのスタイルにこだわってやってくれたと思います。本当に多くの声援をありがとうございました。
インタビュアー:それでは、ヴィアティン三重での2年間を振り返っていただけますか?
樋口監督:42年ぶりに三重に帰ってきて、この地元のクラブに関わることができたので、この2年間は本当に充実した期間でした。なぜ充実していたかというと、選手たちが本当に真摯にサッカーに向き合ってくれました。彼らのほとんどは仕事をしながら、午前中には練習し、疲労が溜まっていてる状況で午後は夜まで働いて、それでもしっかりと次のトレーニングの準備をしてきてくれる。厳しいかもしれませんが選手たちに求めたのは「良いコンディションでトレーニングに来ること」「高いモチベーションでトレーニングに来ること」そして「高い集中力を持つこと」さらに「高いモチベーションを維持し続けること」この4つが揃っていれば絶対に良いトレーニングができます。それを選手たちは常に意識してくれていて、身体がきついときもある、職場で嫌なことがあるかもしれない、プライベートで気になることがあるかもしれない、日々いろんなことがあるとは思うが、ピッチに立つときにはいつも先程あげた4つの要素を持ち続けてほしい、それを最初に伝え選手たちはやり切ってくれました。だからこそ充実した2年間でしたし、もうほんっとに毎日練習している時が楽しかったんですよ…。いろんなトレーニングをする中で「あぁこんなふうに反応してくれるんだ」「こんなふうな手応えを感じさせてくれるのか」というように。だからこそ先程のセレモニーでも言いましたが、それを結果に結びつけるのが私の仕事だったので、それができなかったことが選手たちに申し訳なかったですし、期待してくださった応援してくれている皆さんに対しても申し訳ないと思っています。ただ、本当に充実した2年間を過ごさせて頂いたことに感謝しています。
記者:選手たちにとってはモチベーションの持ち方が難しい試合だったと思います。私は昨シーズンの奈良クラブ戦(眼の前でJ3昇格を決められた試合)も現場にいたのですが、選手たちにはあの記憶というのがあったのでしょうか?
樋口監督:それは選手たちに確認はしていません。ただ、去年奈良クラブとの試合が終わったあと、ロッカーで塞ぎ込んでいた選手たちに言いました。試合後に奈良クラブの昇格決定セレモニーがあったので「このセレモニーを見ておこう」と。この悔しさは絶対に俺たちのバネになるから、この光景を脳裏に焼き付けて来シーズン闘おう、そう話しました。それが選手たちにどれだけ響いたのかはわかりませんが、今日も同じシチュエーションでしたので、去年から継続した選手の心の中には少なからずあったのではないかと思います。そういう意地を選手たちが見せてくれたことは本当に嬉しかったです。だからこそ勝ちたかったです。
記者:ヴィアティン三重は長い間Jに最も近いクラブと言われながら今シーズンも上がれなかったわけですが、J3昇格するにあたって何かが足らないとすれば、もう少しここを伸ばすことができれば昇格できるというのがあればお聞かせ下さい。
樋口監督:それがわかっていたら昇格を果たしていたと思います。ただ、まずはクラブが持てるポテンシャル、これはJFLで一番だと思っています。組織としての強さ、ファン・サポーターの多さ、熱量、地域との一体感、これは間違いなくJFLナンバーワン、場合によってはJ3のクラブを上回るレベルだと思います。この2年間やってきてそれは間違いなく感じました。そのポテンシャルがありながらなぜ結果が出ないのか?日々良いトレーニングをしているのに結果がでないのか?それは僕がやってきたこの2年間に関して言えば、もしかすると僕自信がもっと勝負にこだわらなければいけなかったのかもしれない。言い方は変かもしれませんが、僕は「スタイル」を絶対に崩したくない。例えば勝つために守備的なサッカーをやる、あるいはカウンターだけを狙ったサッカーをやる。もしかするとその方が勝点は取れるかもしれない。このJFLで例えばブリオベッカ浦安が負けなくなったのはそこの部分だと感じています。今日対戦したレイラック滋賀もそうです。しっかりと守ってロングボールを入れて前でファールをもらってセットプレーからの得点を狙う。データを見ると総得点のうちの6割近くがセットプレーからの得点なんです。これは驚異的な数字です。それが相手の闘い方ではあると思うのですが、僕はそれはやりたくない。やっぱりサッカーの面白さ、醍醐味を選手が感じなければいけないし、なんといっても観ている人たちに「サッカーは面白い!」と感じてもらいたい。それを崩してまで僕はサッカーをしたくない、というのが僕の信念なんです。それがやっぱり僕自身の甘さなのかもしれませんね。
だから勝利に届かなかった、勝ち切れない試合が多かったですけれども…、すみません、僕のわがままな哲学がもしかすると昇格できなかった要因のひとつかもしれない。ただ、チームに対して残したもとしてはサッカーの面白さ、醍醐味を伝える、選手自身が楽しみ、観ている人たちを魅了するという部分は、ぜひこれを財産にしていって欲しいと思っています。
記者:樋口監督は退任されますが、クラブは来シーズンもJリーグ昇格を目指して前に進んで行きます。そのクラブに対して何かエールを送って下さい。
樋口監督:このクラブが掲げる理念が本当に素晴らしく心から共感しています。それに共感したからこそ2年前に監督就任するに至ったわけです。ぜひその理念をさらに高め、実践していくために、これは僕の勝手な考え方ですが、やはり観に来ている人たち、プレーする選手、子どもたち、それからサッカーに携わる指導者たちに対して、三重県の象徴になるためにもスタイルをしっかりと築いて欲しいと思っています。それが僕の一番の願いです。その上で昇格を勝ち取る、それを願っていますしその姿を来年以降に見せてもらえたら、この2年間、僕は何も残すことはできなかったですが、足跡として引き継いでもらえたら嬉しいです。ますますのクラブの発展、J昇格を願っています。