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激闘の末、いわきFCと痛み分けのドロー。

2020年11月22日 

文字通り90分間に渡る激闘だった。フィジカルで圧倒的に上回るいわきFCに対して、1秒たりとも負けた瞬間はなかった。最後まで勝利に向かって走り続けたヴィアティン三重の選手たち。勝敗はつかず1-1のドロー。1,800人を超える観衆が詰めかけたいわきグリーンフィールドには試合終了と同時に、言葉では表しにくい声が響いた。6位のいわきFC、7位のヴィアティン三重。ともに勝点1を加算したが、J3昇格を目指す両チームは最終節までその可能性をわずかに残しはしたものの、苦しい結果となった。

いわきFC 1-1 ヴィアティン三重
(前半0-1・後半1-0)

  • 11分:ヴィアティン三重・塩谷 仁⑦
  • 65分:いわきFC・小田島 怜⑯

試合終了後・上野監督コメント

司会:試合全体を振り返っての総括をお願いします。

上野監督:総括の前に、今日は1,800名を超える方々にお越し頂いたということで、素晴らしい環境の中で試合をさせて頂いてありがとうございました。試合内容については我々がコーナーキックから先制点をとることはできましたが、全体を通してみるといわきFCさんに押された内容の試合だったと思いますし、いわきFCさんの方が決定機の回数も多かったです。その中で1-1で引き分けることができました。あわよくば何度かあったカウンターからのチャンスがありましたので、勝てるチャンスはありましたが、1-1のドローは妥当な結果、もしくはいわきFCさんにとっては少し残念な結果だったのではないかと思います。今日の結果を踏まえて、また次の試合に向かって良い準備をしていきたいと思います。ありがとうございました。

VTM:今日の対戦については、両チームともに同じような条件の中で非常に難しい試合になることが予想されたと思います。試合に臨むにあたって、選手たちにはどんな声をかけられましたか?

上野監督:難しい状況では会ったかと思いますが、選手たちにはシンプルに、我々が今日やるべきことを伝えましたし、それを選手たちはやってくれたと思います。

VTM:最終節で様々な条件が絡み合った中で順位が決定することとなりました。それを踏まえて選手たちとどんな思い・意気込みで最終節に臨みますか?

上野監督:それも今日の試合と同じです。他会場の経過・結果が気になって調べたり、スタッフが情報を伝えたりしてくれるとは思いますが、この一週間でやることをもう一度整理して、やるべきことをしっかりやり切る。あとは結果を待つだけです。

いわきFC・田村監督コメント

司会:試合全体を振り返っての総括をお願いします。

田村監督:ホーム最終戦ということで、1,800人を超えるファン・サポーターのみなさんが来て頂いたということで、勝利をお届けできれば一番良かったのですが、最低限90分+αの時間の中でみなさんがドキドキするような空間を展開したいと思っていましたので、みなさんが足を運んで頂いたことに感謝していますし、本当にチカラになりました。最後に勝ち切れなかったのは私の力不足だったと思っています。試合内容としてはヴィアティン三重さんといわきFCが置かれている立場が勝点・勝ち星を含めて同じでした。

前半セットプレーからやられてしまったのですが、後半は相手の足が止まると予想していましたので、ひとつひとつ丁寧に返していこうとハーフタイムに話しました。そして後半は逆にセットプレーから、トリックプレーだったのですが得点を奪えて良かったと思います。その後に続いたこちらの攻撃が続く時間帯に2点、3点と相手に畳み掛けることができればもっと良かったですが、そこはやはりヴィアティン三重さんもしっかりと身体を張って守備をされていたので、勝ち切れなかったことは残念ではありますが、最終節に望みを繋げているので、ここからの一週間は戦術どうこうではなく、コンディションとメンタルをしっかり調整してアウェー宮崎ではありますが、いわきFCらしいサッカーをして、試合終了の笛が鳴った時に喜んでいられるかどうかはわかりませんが、条件としては自分たちが勝つことが前提になりますので、テゲバジャーロ宮崎さんに対して攻撃的なサッカーを展開したいと思っています。

前半・11分にコーナーキックから塩谷がヘッドで先制

いわきFC・勝点20で6位、ヴィアティン三重・勝点20で7位。前日に行われた4試合の結果を受けて、俄然緊張感が高まったこの一戦。勝った方が3位まで上がる可能性を秘めてキックオフ。ヴィアティン三重は佐藤洸一⑱と古川大悟⑨に当ててから左右に展開する得意のパターンから攻撃を試みる。いつもどおり前線から激しいプレスに行くがフィジカルで勝る相手選手に球際で圧倒される。しかし選手たちは落ち着いて対処し、流れは悪くない。そして11分、右からのコーナーキック、キッカーは井上丈㉜。高く弧を描いたボールは中央の密集を超えて左サイドで駆け引きする塩谷のところへ。相手選手を上手くかわした塩谷が頭でドンピシャ、先制点を奪ってチームに勢いを付ける。

その後も一進一退の攻防を展開するが互いに決定機は少なく0-1でヴィアティンの三重1点リードで後半へ。

後半・パワー&スタミナで畳み掛けるいわきFC、セットプレーから失点

前半から佐藤洸一を徹底して抑えにかかってきたいわきDF陣。「18番(佐藤洸一選手)にしっかりと身体を寄せて競る。空いたところをしっかりカバーして自由にさせないよう徹底した。」と試合後の田村監督は言った。50分・佐藤洸一に代わって坂井将吾⑥投入。競り合いからのこぼれ球を拾ってスペースに飛び出す坂井へ送る。左サイドから何度も攻め上がる場面を見せるが分厚いいわきDF陣を前に得点には至らず。

そして65分・相手のコーナーキック。ゴール前に詰めた選手が大きく下がったところにグラウンダーのパスが出されフリーでシュート。虚を突かれたプレーに対応できずゴールを許す。そしてここからはいわきFCの猛攻が始まる。「足が止まり中盤が間延びすると予想していた」と試合後に田村監督が話したように、ヴィアティンのリズムが停滞、度々相手が決定機を迎えるが全員で身体を張って守る。「オレたちが勝つぞ!!!いけるぞ!!!」と拳を突き上げてチームを鼓舞する森主麗司⑤。

相手の猛攻をしのぎながらカウンターから何度かゴールに迫る場面を見せるが相手も気持ちは同じ、魂のプレーで跳ね返される。まさしく激闘。後半の同点ゴールを許してからは互いに一歩も譲らない気迫と魂のぶつかり合う展開。一瞬の気の緩みも許されない状況に心臓の鼓動が速くなる。

攻撃のリズムを立て直すべく澤朋哉⑧・河村英侑⑮を投入、疲労が見え始めていた守備陣は奥村泰地㉝・寺田匡史④を投入。5枚の交代カードを使い切って終盤の攻防に変化を付ける。

しかし時間が経過し互いに追加点を奪うことは出来ずに試合終了のホイッスル。膝から崩れ落ちる両チームの選手たち。死闘の末に勝点を分け合ったこの結果が意味するものが何かをこの瞬間に立ち会った者すべてが悟った。ともに欲しかったのは勝点1ではなかった。

試合結果はドローとなったが、今季ホーム最終戦ということで、いわきグリーンフィールドに詰めかけた1,800人の観衆からは死力を尽くした両チームの選手たちに温かい拍手が贈られた。そして三重からいわきまで駆けつけたヴィアティン三重サポーターたちのところへ向かう選手たち。最終節まで可能性はあるとは言うものの、その表情には悔しさしか見て取れなかった。

残り1試合。できることはただひとつ、全力を出し切るのみ。

いわきFCとの直接対決に引き分け、勝点1を加算したものの順位は7位のまま。勝点21で最終節・高知ユナイテッドSC戦をホーム・アサスタで迎える。自力での4位入賞はなくなったが、4位入賞の可能性はわずかに残っている。3位から8位までの勝敗・得失点差が複雑に絡み合っている状況。

他会場の試合や他チームの得点数は自分たちがどれだけ努力したところで変えられるものではない。自分たちにできることはただひとつ。目の前の一戦に全力を尽くすこと。その先の結果を知るのはサッカーの神様のみ。自分たちにできることを最大限にやることができれば、最後には笑えるのではないだろうか。

今日の試合を終えて山本GMと少し話す時間があった。「強かった…。あと2〜3点取られてもおかしくない試合でした。選手たちは本当に最後まで良く守り、良く闘ったと思います。」と山本GM。

後半はずっとゴール横でカメラを構えていた筆者は同じように感じた部分もあったが、ゴールに迫る坂井、塩谷、古川、平信、森主らヴィアティンの選手たちの表情を思い返すと、相手に圧倒されているチームのそれではなかった。そう、追加点こそ奪えなかったが、最後の1秒まで自信に満ち溢れ、闘う男たちの顔だった。試合全体を見れば苦しいものだったかもしれないが、ピッチレベルの一番近いところで見ていた私は、最後まで負ける気はしなかった。

ちょうど1ヶ月前の10/25、ホンダロック戦に負けた時点での順位は14位。そこから1ヶ月でここまで来ることをどれだけの人が予想できただろうか。最後まで諦めないと言葉では言うものの何度も心が折れそうになったこれまでの闘い。ここまで連れてきてくれた選手たちと最後の一戦を共に闘おう。

大好きなヴィアティン三重の選手たちと共に。

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